介護タクシーの依頼の中で一番辛い経験〜開業前に知っておく事

 

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兵庫県香美町で『介護タクシーの開業、集客』の専門家として活動中! ミラサポや兵庫県商工会連合会、長崎県商工会連合会に登録し、マーケティングサルタントとして企業の相談などを行っております。また、介護タクシーの経営も実際にしております。 コンサルが出来る介護タクシー事業者として様々な事業所さんを支援中です。 (全国どこでも出張可能です!まずはお気軽にお問合せ下さい)
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僕は開業してからこれまでに何人もの介護タクシーの依頼を断ってきました。

それらのほとんどが他の方と時間がかぶったことです。そのような場合は、他の介護タクシーの業者さんを出来るだけ紹介するようにしています。

さて、今回書くことはそういった理由で断った方ではなく、別の理由で移送を断ってしまった話しです。

開業してから1年くらい経ったときでしょうか。。。

一本の電話がかかってきました。その方をAさんと言います。

「もしもし、Aと言います。父親の移送の時は大変お世話になりました」

そのAさんのお父さんをよく移送させていただいたことがあります。Aさんはものすごく低姿勢な方という記憶があります。

僕「お久しぶりです!」

Aさん「父親も亡くなってしまって、もう今西さんに頼むことはないと思っていたんですが、ちょっと無理なお願いがありまして。。。」

電話の奥から聞こえるAさんの声は、大変深刻そうなものでした。

僕「いかがなさいましたか?」

Aさん「実は私を家から病院まで連れていってほしいのです」

ちょっとびっくりしました。そこで僕はこう言いました。

「健常者の方はお断りしていて、普通のタクシーのほうが車種が小さくなるので少し安くで済みますし。。。」

するとAさんは大きくため息をつきながらこう言い出しました。

「私は今、がんになってしまいまして、末期なんです。もう先がないと医者に言われ、最後に荷物を取りに家になんとか帰ってきたんです。」

まさかそんな言葉が出てくるとは思わなかったため、返事に困ってしまいました。

僕「この車両を使わないといけない状況なんですね。わかりました。いつ頃がご希望でしょうか?」

Aさんは言いにくそうに
「今お金がなくて2000円で走っていただけないでしょうか」

僕「今の支払いじゃなくてもいいんですよ。後払いでいいんですよ」

するとAさんは、「今西さん、悪いんですが2000円しかないんです。私はこの先いつ死ぬかわからないのに、今西さんに返せる見込みなんてありません。医者からも余命宣告を受けたんです。」

僕「そんな状況で帰ってきたんですか!!??大丈夫なんですか?」

 

Aさん「病院から勝手に抜け出してきたので、早く帰らないといけないんです。」

僕「料金なんか後払いでいいので帰りましょう。お金は一切気にしないでください。払えなかった時はその時です。」

家から病院までの料金は13000円です。状況だけにここはただで走りたいところでしたが、こちらもお客さんを乗せる以上は正規の料金を提示しなければいけません。

しかし、Aさんもかたくなに現金を払いたいようでした。そして、発せられた言葉は、「迷惑かけたらいけないので、自分の力で帰ります」。

僕「お金はいつでもいいんですよ!ただ、業務として受ける以上はうやむやにこちらもできないんですよ!」

Aさんは結局ご自分で帰られたようです。

それから数ヶ月後にお悔やみに名前が出ていました。

どうにかして、力になりたかったのですが、無理でした。

ルールに縛られる介護タクシーの仕事。

こういった辛い経験を経て、より人の命の重みや自分の仕事の重大さを気づかされます。

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