夫婦別室の将来〜介護タクシーの現場より〜
昨日はこどもたちに大人気のバルーンアートのブログでしたが、今日は一変して介護のブログを書きます。
タイトルは夫婦別室の将来というものですが、まあ家族によっては夫婦別室で寝ているよという方もいるのではないでしょうか(笑)
しかし、今から書くことはそういうものではなく、自分の意志とは違い、やむなく夫婦が離されていく介護の現実を書いていこうと思います。
以前、寝たきりのおばあさんを実家から遠くの病院に運んでほしいと依頼がありました。
実家から遠くというのは4時間くらいかかる場所です。
そのおばあさんは寝たきりなのですが、なんとなく話しをすることもでき、意識もきちんとあります。
なぜ、そんな遠くの病院に運んだかというと、長年連れ添ったご主人が病院に入院しているとのことでした。
運転する事4時間。
ようやくご主人が入院している病院に到着しました。
病院ではご家族も待っておられました。
そして、ストレッチャーに乗っておられる奥さんを連れ、院内に入りました。
あらかじめご家族と病院側が打ち合わせをしておられたのでしょうか・・
僕が奥さんをお連れするお部屋は、ご主人が入院しておられるお部屋でした。
部屋に入ると、完全に寝たきり状態で、意識もはっきりしていない目を閉じたご主人がベッドにおられました。
僕は奥さんが乗っておられるストレッチャーをご主人のベッドの横につけました。
ストレッチャーを横につけると奥さんは一言ご主人にこういいました。
「おじいさん、遠いけど来たよ。私もここを選んだんだで。」
ご主人は、表情もなく、当然返事もありません。
同じ病院ですが、事情により部屋は別々になるとのことで、数分ほどで別室に奥さんを連れていきました。
結婚するときは「いつまでも一緒にいよう」という思いで一緒になられたと思います。
しかし、数十年後、自分たち夫婦の未来がこんな風になるとは誰が予想したでしょうか。
せめて車いすならもう少し自由に行き来ができるでしょう。
しかし、自分の状態が寝たきりとなると、ご主人に会いたくても自由に行けない。
本当に辛い思いをされたと思います。
何ヶ月か経ったある日。
ご家族の方を偶然見かけました。
その時に声をかけていただいたんです。
「あの時はお世話になりました。父はあれから間もなく亡くなったんです。母と父が最後に一緒の部屋に少しの時間だけでしたがいることが出来たのは、今西さんが送ってきてくれたからです。」と言ってくださいました。
死を迎える現実と向き合うほど辛いものはありません。
それは、本人だけでなく、ご家族や周りも一緒です。
僕の母は、48歳で亡くなりました。
当時、介護タクシーという便利なものはありませんでした。家に連れて帰るときは息を引き取ったときだけだったんです。
あの時に無理をしてでも、もう一度自分の家で寝かせてやりたかったとくやみます。
僕はその時の悔しい思いを他の人にしてほしくない。
だから、「一度家に帰りたい。思いのある場所に行きたい。」こういった依頼が来たときには、余計に気持ちが入り込むのです。
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