老人ホームで入所者全員を安全な場所に避難してもらうことは可能なのか。
北海道、東北地方で起こった台風10号。
この台風10号の影響で12人が亡くなり、17人と連絡が取れない状況が続いています。
本当に大変な災害となりました。
この災害の怖さを痛感させられたのが、岩手県の岩泉町にあるグループホームで入所者9人が亡くなったことです。
今回は、この災害からわかる避難の難しさについて書きたいと思います。
グループホームとはどういった施設なのか?
今回9人が亡くなったグループホームはどういった施設かというと、認知症の人が共同生活を送る為の施設です。1つのユニットで5人〜9人という少人数制の施設で、1ユニットにつき最大9人ということですが、今回グループホームで亡くなった人数が9人ということは、入所者全員が亡くなったということが考えられます。
認知症は簡単に説明をすると脳の病気で、常時一人で正常な判断をして行動することが困難な方です。グループホームはそういった方又はそういった状態に近い方が9人いる状態だということです。
介護施設には介護をすることを前提にした人員配置。
グループホームですと、利用者さん3人に対して職員が1人の配置となっています。夜勤の場合ですと、常時1人以上の配置となっています。この人員に関しては、あくまで介護することを前提としているようです。
したがって、夜間に台風のため身の危険を感じて入所者さんを安全な場所に避難をさせる場合、職員2人で9人の入所者さんを移動させなければいけないのです。
自分自身が身の危険を感じている状態で、職員2人で入所者さん9人全員を安全な場所に避難させることって可能なのでしょうか。職員の人数が倍の4人になったところで9人の入所者さんを安全な場所に避難させることが出来るのでしょうか。
自分で動ける方でも亡くなっている災害ですから、今回の件に関しては本当に大変だと思いました。
介護タクシーの経験から言うと、避難は神業レベル。
僕はこれまで介護タクシーの仕事で数々の現場に入ってきました。
家のベッドからストレッチャーに利用者さんを乗せて、そこから家の中を移動し、クルマに乗ってもらうまで5分〜7分かかります。(車いすの場合はもう少し早くなります)
寝たきりの方を移乗させる場合には、介助要員が最低2人必要です。そうなった時に施設のようにたくさんの入所者さんがいるとものすごく時間がかかることがわかります。
もし、エレベーターを使用しないと避難することが困難な施設なら階段から降りる場合も想定しなければいけません。
そう考えると、有事の際に入所者さん全員を安全な場所に移動させるのは本当に難しいことだと思います。
災害だけではありません。
先日起きた障がい者施設での殺傷事件でも、同じ事が言えます。
今後どうやって対応すればいいのか。
今後どうやったら安全な対応が出来るのかということは、このブログだけでは書ききれません。
あんな台風が来たら、自分も助かる見込みがあるのかどうかもわからないですし、ましてや、動けない人を連れて避難させることなんて本当に出来るのかもわからないのが正直なところです。
ただ、一つだけ言える事は日頃の備えをしっかりとしておくこと。
これで助からない場合もあるかもしれませんが、「あのときこうしておけば良かった」と悔いが残るよりはいいと思います。
僕の地域でもいつこういった災害が起きるかわからないので、教訓にして日頃の備えをしておきたいと思います。
亡くなった方のご冥福をお祈り申し上げます。
関連記事 - Related Posts -
-
2015/02/02
-
僕が色々な事に挑戦出来る理由は、周囲の人に恵まれているからです。
-
2015/01/13
-
薬を飲み続けるって面倒ですよね〜☆介護タクシーや子育ての現場から
-
2015/06/08
-
10年後の介護タクシー業界ってどうなっていると思いますか?独立開業支援
-
2015/10/07
-
ウインドウズからマックに乗り換えるか迷っている人へ☆仕事に影響
最新記事 - New Posts -
-
2023/09/20
-
介護タクシー開業時、同業他社に相談する際に気をつけること
-
2023/03/06
-
介護タクシーが増加している地域でも独立開業をすすめる本当の理由
-
2019/08/19
-
当社で介護タクシー開業支援を受ける最大のメリット☆
-
2019/08/16
-
《介護タクシー開業者必見》利用者さんが認知症かなと思った時の対応方法?