2018/06/28
介護タクシー事業で失敗する5つのパターンとは!?
これまでの記事でも紹介してきましたが、介護タクシー業界参入へのハードルはそんなに高くないということをお伝えしてきました。
難しい資格が必要でもなく、資金も1千万円もかからない、事業所は自宅を兼ねて始める事ができると。
そして、起業してからの収入パターンなども直近の記事で紹介をさせていただきました。
開業当初の売上は低いですが、きちんと努力した事によって生活を成り立たせる事はもちろん、次の事業にいかせるくらいの収入を得る事だって可能とお伝えをさせていただきました。
ただ、ここで大切なことは、少なくとも独立・起業には失敗というリスクが伴う事も知っておかなければいけません。
そもそも介護タクシーでいう失敗とは?
なにを失敗と言うかは人それぞれですが、事業者たるもの撤退ラインをしっかり設けておくことも経営手腕ではないでしょうか。僕がこれまで見たり、聞いたり、そして自分が感じ取ったことをもとに僕が考える介護タクシー事業の失敗パターンを5つ述べさせていただきます。
- 開業資金が用意できない
- 1年間赤字が続く
- 起業時が高齢
- 行政処分などがきっかけで営業停止
- 営業力のなさ
1、開業資金が用意できない
これは起業する以前の話になってくるのですが、介護タクシーで独立しよう!と決めたものの、開業資金が用意できず断念するパターンが多いように感じます。当社への介護タクシー開業相談で開業希望者の方が一番気になっておられる内容が開業資金についてです。
ネット上では格安で起業が出来ると書いてあるところもあります。
僕が記事に書いたように確かにハードルは低く、低資金でも起業することが可能なのですが、あまりにも準備できる資金が少ないために起業を断念される方もおられます。
車両代や備品等だけで言えば、低資金でも可能かもしれません。ここで忘れてはいけないのが、設備資金以外の「運転資金の確保」です。
開業当初は、お客さんが少ないことが予想され、そのため売上はもちろん、収入だって少ないはずです。
そういったことから、ある程度の運転資金を確保しておくことが大切なのです。設備資金と運転資金の確保ができず、開業することを断念しなければならない人だってたくさんおられるのです。
2、2年間赤字が続く
先ほどの項目でも挙げさせていただきましたが、開業するにあたり、ある程度の運転資金を確保しておくことを述べさせていただきました。しかし、いくら運転資金が確保されていても、2年間赤字が続くようなら事業撤退も視野に入れておかなければいけません。
僕の経験上、赤字が続くのは最大半年だと思っています。初年度に関しては、初期費用がたくさんいるにしても、次年度からはそこまで費用がかかる事業ではありません。
車検や保険といった出ていく経費が多いこともありますが、それを気にしないくらいの売上がないと経営を継続していくことは困難だと言えます。
3、起業時が高齢
何歳になっても夢を叶えるために行動することは素晴らしいことだと思っています。
ただ、その行動が高齢であればあるほど、リスクも高まってくることもがあります。
介護タクシーに関しては、基本的に個人事業主が多いです。それ故に経営者=運転手という構図になりますが、ここがポイントでして、介護タクシーを起業した年齢が高齢だった場合、数年経てば、自分自身も運ばれる立場になる人だって出てくるのです。
70代で介護タクシーの運転手をしている人は、普通におられるでしょう。
そういった人たちが30代、40代の人たちと同じように経営が出来るかというと、なかなか難しい面も出てくるはずです。
4、行政処分などがきっかけで営業停止
介護タクシーは国土交通省の運輸局が管轄となります。僕が住む地域でしたら、近畿運輸局です。
行政処分を受けた業者はその管轄される運輸局にて行政処分の内容や点数、業者名が公開されます。
場合によっては、新聞沙汰になることだってあるでしょう。
介護タクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業」で、その事業は「道路運送法」という法律の中でいろいろな取り決めがあります。それを少しくらいなら違反をして大丈夫という気持ちから事故や違反対象になり、口頭で注意だけでなく、行政処分などを受ける場合があり、事業停止処分、最悪の場合、事業の取り消しだってあるのです。
取り消しになった場合は、その名の通り、事業を継続することができなくなり、廃業しなければいけなくなります。
5、営業力のなさ
介護タクシーと言えば、「人のお役に立てる仕事」という若干、人助けみたいな感覚はあるでしょうが、あくまでビジネスです。税務署に申告している以上は経営として成り立たせていく必要があるので、きちんとした気持ちで経営をしていく必要があります。そこで、多くの開業者に待っている落とし穴は「営業力」です。
僕自身は、過去に営業職につかせていただいたこともありますし、そもそも営業といいますか、人と接したりと対話が好きです。
売り込みをしない方法で事業を存続させることが出来れば、それは何もいうことありませんが、何も知ってもらっていない状態からだと営業なしでは何も伝わりません。
口下手な人でも開業することができますが、人と対話することができなければ仕事にならないのが介護タクシーの仕事だと思っています。
仕事は好きだけど、人と接することが苦手で営業は嫌と目を背けていると廃業になることだってありえます。あくまで、仕事が出来る=経営が出来るのとは違います。
営業のことに関しては、下の記事にも書いてあるのでよかったら目を通してください。
身近に起きた失敗事例
僕の知る限りでも、ここ数年でいくつかの失敗事例を見てきました。どんなパターンで失敗をされたのか、前項と少し重複することがあるかと思いますが、ご紹介させていただきます。
営業職から脱サラして独立した方の失敗パターン
営業職をしていた方が脱サラをして介護タクシーの独立をされたのですが、集客が思うようにいかなくなり、廃業寸前になったというものです。
営業職だったにも関わらず、集客に困った理由は利用者さんに対して「事務的な対応」だったからです。
僕たちが対応させていただく利用者さんは困っておられる方です。そういった人たちに事務的な対応をすることによって、次から利用してくれないことはもちろん、悪い噂が立つことだってあります。
そうならないためにも気をつけることは、真心を込めた対応をするということです。
他社ばかりが気になり、お客様と自社が見えていなかったパターン
開業すると、気になってくるのが他社の動きかもしれません。これは僕自身も体験したことなのですが、他社の値段設定が気になり、その業者にお客さんがたくさんついていると、その値段に合わせようとしてしまいそうになります。これはかなり危険な行為だと言えます。
僕の事業所のように小さな介護タクシーもあれば、数台の車両を持っている大きな介護タクシーの事業所もあります。
もし、大きな介護タクシーの事業所が安売りをしていたら、「自社も負けずに安くしてお客さんを確保しよう」という思いだって出てくるかもしれません。
そこに落とし穴があるのです。安売りをすると、安くした分、たくさんの運送回数をこなしていかなければいけません。
そうすると、いくら働いても利益が出にくくなり、結局は資金面で強い大きな事業所が生き残るという仕組みになります。
他社も気になるかもしれませんが、まずは自社を知る。そして、お客さんと向き合うことが大切です。そうすると、極端に安くしなくても生き残っていく強い事業所になるといえます。
間違っても、他社をライバル視しないことです。
最初からうまく仕事が行きすぎた
介護タクシーを開業してすぐにお客さんからたくさん依頼が来ると嬉しいものです。ただ、自分の持っている力量を超えて依頼が来ることだってあります。この事例も僕が経験したことですが、1日のうちに7件の仕事を入れてしまったことがあります。そうすると、段取りに集中してしまい、目の前のお客さんに対してきちんとした対応が行き届きにくい状態になったことがあります。
僕の知っている事業所も開業してすぐに自分のキャパを超えた仕事を入れすぎて、最終的にはケアマネさんや相談員さんから「あの業者はいい加減だった」と言われる結果になりました。
こういうことは、その業者さんに直接言われるのではなく、第三者に報告されるケースが多々あると思います。
まずは開業したらある程度の依頼も請け、これ以上はちょっとバタバタしすぎてしまうなと思えば、断ったり、別の業者さんを紹介する方がいいでしょう。
まとめ
さて、今回の記事は少し不安を抱えてしまいそうな内容となりましたが、こういったことを知っておくことによって心づもりといった備えが出来るものと思っています。
介護タクシーの開業相談の中には、「同じ地域に介護タクシーがいるので、アドバイスを聞こうと思う」とおっしゃる人がおられますが、既存の業者さんが全てを教えてくれるかと言うと、なかなか難しいものがあるかもしれません。これは至極当然な話です。
逆の立場になって考えてみてください。
すでに開業している皆さんのところに、新しく介護タクシーを開業する人が「アドバイスが欲しい」と言われたとき、これまで培ったことを全てお話をするかというとどうでしょうか?
きっと全てをお話される人は少ないんじゃないかと思います。
しかし、こういった介護タクシーを開業する上で、経験者のサポートがあった方がいいのは当然のことです。
何から何までアドバイスを聞くという目的で同じ地域の同業者に連絡するのではなく、まずは自社の存在を知ってもらい、信頼関係が築けた上で、どうしてもわからないことに関しては教えてもらうというようにする方がいいです。
介護タクシーの開業に関する全てのアドバイスに関しては、当社が支援する業者さんには全てをお伝えをしますが、出来るだけ失敗をしない方法は、先ほども伝えた経験者のサポートがあることだと言えます。
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